DJ OLIVEの作りだす大らかなうねりのDUBを聞く。むかしむかし、人間は、石を叩いたり、言葉ではない声をだしたり、動物の真似をしているうちに、それはリズムとなり、リズムの繋がりは原初のメロディーに変化し、それがやがて「音楽」になったんだろう。文化とは「距離」だ、と誰かがいったが、「音楽」の登場は我々の耳と自然との間に、大きな川のような距離を作った。この瞬間に人間は自然から切り離されて、まずは幸せには死ねない宿命を背負った「人間」たるものが完成した。誰かが言ったように、全ての「音楽」の目的とは、「自然」と「性」を我々の耳にもう一度奪取することだ。我々はもう一度戻れるとこまで戻りたがっている。そして出来るならもう一度、産道まで引き返したいのだ。祭りを見よ。クラブを見よ。フェスを見よ。未来にもう一度生まれるだろう我々の誕生を祝って、人はバカのように踊っている。DJ OLIVEは、実はずっと、自然と性についての音楽をやってきたのではないか。この人、きっとそうなんじゃないか、と思った。

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Twothの音楽はいつも混とんとしているが、今回のアルバムの混沌度はさらに深い。 全てのアニメや音の出るもの出ないものを選別せずに全部切り刻んで、彼の過去や現在、家庭までも突っ込んで、グツグツ煮込んだ音楽だ。口当たりのいい料理ではない。食べ終わるのに相当体力がいる料理である。我々は料理人に何かを挑まれている気になって、目の前にいる女の子との会話に集中できない。デートとしては台無しである。仕方がない。だってこれはTwothの音楽レストランなのだ。食っても食っても腹が減る。食っても食っても皿が出てくる。変な味のワイン。見たことがない奇妙な魚。美しすぎて不自然なラディッシュ。おかしな形のパン。メインディッシュはどれだ?水をくれ!

音楽とは、考え方である。つまり言葉である。言葉なら口にできるだろうと言うかもしれないが、口になんかできない。言葉には声にできない言葉もあるのだ。何かが確かに書かれている。しかし読めない。それが音楽だ。このやかましい音楽が、皿廻しの曲芸みたいに、アナタのレコードプレイヤーでクルクル廻るかと思うと、失われた食欲が戻ってきそうだ。気に入ってくれたら嬉しい。

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DJ OLIVE

ニューヨークのアンダーグラウンド・シーンの最重要人物として90年代初期から活動。

Art LindsayやBill Laswell、Sonic YouthのKim Gordonとのコラボレーションなど様々なミュージシャンとコラボレーション。ダブ、ブレイクビーツ、民族音楽というジャンルを超えたワン・アンド・オンリーな音楽世界を構築し、世界中にフォロワーを生む。ある時はトロピカル、ある時はパーカッシヴ、そしてスピリチュアル!彼の方法論は現在でも全く古びていない。

www.djolive.com

Twoth(トゥース)

スダ シンイチのソロユニット。
2006年にPowershovel. AudioからCDデビューをして以降、ジャズトランぺッターFreddie Habbardへの楽曲提供、アニメーションやテレビCM、ミュージアムでのアーティストとのコラボレーションなど数多くの楽曲を制作している。

日本人初のアヌシー国際アニメーション映画祭 音楽賞 受賞など、様々な国際的な賞を受賞。ジャンルを問わない活動を展開している東京出身の音楽家。

2014年にはシマモトコウサクとのTechno Duo BERVATRAとしての活動も開始。

www.twoth.jp

・インタビュー

We have been told that you have gotten inspiration from the prefecture of Gunma in Japan at the beginning of the process. Can you tell us more about it? in 2009 i went and played at a rave in the mountains of Gunma. i played at 4am for two hrs in a field with a huge bonfire. after my set i got lost wandering amongst all the amazing stalls and small venders, one who made me maybe the best espresso coffee i ever had. as the sun began to rise i decided to walk up as far as i could to meet it. i climbed the mountain making my own path. i found many beautiful plants along the way. some fresh ferns just unwinding their stalks. at the top of the mountain i could hear the pounding bass rumbling up from the valley below. it was still dark down there but up on the top of the mountain it was beautiful and the light of the coming sun was crisp and strong.i climbed higher and finally all the way to top and there just on the other side of the mountain top was a sky lift. the very most top of a sky lift that went all the way back down to the next valley… but it was early october and there was no snow. no anybody. just the top of an abandoned sky lift. i sat up there for two hours and watched the sun rise . was early october and there was no snow. no anybody. just the top of an abandoned sky lift. i sat up there for two hours and watched the sun rise .

・本人解説

Captured Mime
捕らえられた黙劇

このセカンドは、自分の闘争本能、怒りや孤独、悲しみが凄く出てしまっている。 日常生活の中でのふと現れる一瞬の狂気やあるがままの自分を表現したかった。 (全て森山さんの動物写真を見て作ってるのでイメージはかなりハードコントラストな白黒の写真)

SIDE A
1.Lovely Looser 3:22
愛すべき負け犬の足掻き
MPC2000での鬼の1/4小節のループを主に使ったノーニューヨークとヒップホップを合わせた一曲

2.Natural Dreamer 3:31
捉えられたゾウを8bitで
ゲームボーイのLSDJという伝説ソフトで作った辺境8ビットワールドミュージック。

3.Birds Room 3:20
捉えられた小鳥のイメージ。
重低音とカズーというバランスがやってみたかった。
初期のマッシブアタックの感じにヘタクソなピアノを乗せて。

Artist:DJ OLIVE
Item Code:PSA-045
レコード2枚組 両面/66分53秒
Price:3,500円(税込)
Artist:TWOTH
Item Code:PSA-046
レコード 両面/40分18秒
Price:2,500円(税込)
2タイトルを一緒に購入
Price:6,000円(税込)

お知らせ

よくあるような諸々の事情から、このリリースがPowerShovel Audioの最後のリリースになると思える。
ひとまず皆さんに「さようなら」と言いたい。でも、またいつか、どこかでお会いしましょう。

個人としての私は、近年ますます音楽が好きになっている。
あらゆるジャンルが、苦手だったあの田舎臭いカントリーまでもが、全て美しくいいなあと思えるようになったし、私は実はロックがあまり好きでなかったのだが、ロックも大好きになった。古いブルースもJAZZも、耳が取り替えられたみたいに昔とは聞こえ方が変わった。相変わらず古いAltecのスピーカと、今の音を代表するようなMusikのスピーカの両方で音楽を聴いている。誰もいない事務所で一人で聞く、もうとっくに死んだ人たち、そしてまだ死について考えたこともない人たち、彼らが作りだした音楽は、まだ死ぬ決心がつかないだけの私を丸洗いしてくれる。かわいこちゃんもいいけど、金もいいけど、酒もいいけど、仕事もそりゃあ大事だろうけど、音楽よりいいものを私は知らない。

PowerShovel Audioの10年の日々は制作者としての我々を大して教育してくれたわけではないが、ぐるっとまわって、私という個人をさらに音楽好きにしてくれたことは確かだ。ありがとうよ。

大森秀樹(PowerShovel Audio)